テレビ朝日開局45周年 木曜ドラマ

『黒革の手帖』第三週

STORY

「カルネ」店内で藤岡に襲われている元子を間一髪で助けたのは安島だった。事情を問いつめる彼に、元子は「元の職場で不倫していてこじれた」「店の資金は父の遺産」などと作り話を聞かせる。自分と似た生い立ち(嘘なんだけど)の元子にますます興味を持つ安島。
楢林美容外科クリニックを訪れた元子は、しぶる楢林から5千万円を受け取り、意気揚々。憤怒の形相の楢林(怖い)、波子から電話がくるが、怒鳴って切る。何も知らない波子は曜子さんの美容室で、店のオープンで着る服のことなど考えている。
元子が勤めていた東林銀行支店に、謎の電話がかかってくる。原口元子の経歴を問い合わせるその電話の主は、安島。国会議員になろうという男がなにやってんだ…

元子は、なにくわぬ顔で市子に1千万を渡して恩をきせ(残り4千万は自分のもの)、喫茶店の物件を見にいく。感謝しつつも微妙な表情の市子。いっぽう楢林の病院は暗いムード。

料亭『梅村』では総会屋の長谷川と安島が参議院出馬の算段をしている。秋葉という男の協力を得られれば、うまくいきそうなのだ。長谷川は安島にヒントを与え、5千万くれてやる。
母ひとり子ひとりで育った安島は、なんとしても成功して世間を見返したいのだ。

医大予備校理事長の橋田は元子ママに御執心だが、デートの誘いをすっぽかされる。安島へのライバル意識も持っている彼は、元子に銀座一の名クラブ『ロダン』を買ってやると申し出る。
目を輝かせる元子。美容室オーナーの曜子の話では、2・3億はするだろうという買い物だ。が、男に買わせるのなら波子と同じ。買えるだけの金を自分で手に入れればいい…橋田の弱味を握って、脅そう。計画を練る元子の部屋にまた無言電話がかかってくる。

楢林美容クリニックに波子がおしかけてきて、金をねだる。うんざりした表情で帰る楢林、こっそり院長室で院長の白衣を抱き締める市子。忘れ物をして戻ってくる楢林、顔を見合わせるふたり。
市子は元子の部屋を訪れ、1千万円を返す。過去に戻ろうとする市子を激しく責める元子だが、市子は「あなたは人の気持ちってものがわかってない」と言い残し、去ってゆく。

気を取り直しカルネに向かう元子は、またエレベータで波子と鉢合わせ。元気のない波子をわざとらしく気遣う元子。
カルネにまたまた無言電話がかかってくる。元子は藤岡の仕業だと思っていたが、マネージャの矢沢によれば、藤岡ではない筈だという…
そこに、ホステス希望の若い女がやってくる。
料亭『梅村』の仲居だったというその女・澄江から、橋田が『梅村』を買い取ろうとしていることを聞き出し、自分がそれを横取りすればいいのだと思い付く元子。元子は澄江を雇うことにする。

開店前のカルネに、波子が怒鳴り込んでくる。楢林からの資金援助が打ち切られたのは元子のせいだと見当をつけたのだ。ビンゴ。女二人はつかみ合いの喧嘩になり「銀座で商売できないようにしてやる!」と凄む波子を元子は叩き出す。
店の外で元子に話し掛ける安島。「あんた銀行員だった頃、何したんだ?」
狼狽した元子は、自分でもよくわからないまま、安島をベットに誘う………はや!!つうか元子さんやば。最初の作り話と辻褄合わなせなきゃ駄目じゃん………(はらはら)

to be continue


今週の曜子さま

<その1>美容室。
楢林に電話を切られ「なんやの!」と携帯を置く波子さん。タバコも置く。と、店員の真希さんが「どうぞ」と灰皿を出す。真希さんにチップを渡そうとする波子さん。店の奥から曜子さん登場。
真希さん「でも…」波子さん「わたしに恥かかすん?」
曜子さん
「真希ちゃん。」頂いておきなさいと目配せ(鏡に映ってます)。真希さん、お辞儀して5千円札を受け取り退場。いいなぁ。灰皿出しただけで5千円……
曜子さんが替って波子さんの髪をセットしはじめる。
小さい声で「失礼します」といってます。白ブラウスに黒スカート。
波子さん
「センセェ?」
曜子さん
「はい?」慣れた手付きでカーラー巻いてます。
波子さん雑誌をめくりながら
「お金ってエエねぇ」
曜子さん笑って
「そうですか?」サラっとな^^。
波子さん
「うん。なんでもできるもん。」真希ちゃんはあげないわよ!
曜子さん
「お店オープン、もうすぐですね」話を変えようと…?
波子さん
「そう!そや、何着ようか迷ってんの。」
曜子さん
「お着物でしょう?」
波子さん
「そう。白いのんとー、銀ねずと誂えたんやけど、どっちにしよ。…そうだ!センセ占って?」
曜子さん
「(苦笑)私そういうのわからないの。もっと大きな(一瞬遠い目)流れみたいなものしか。」
波子さん「フウ〜ン…。センセのはいまひとつ、実用的やないねぇ。」
なんだとー!

<その2>屋外。
橋田に押し付けられたカギを手に、ホテルのビルを見上げる元子さん。
入ろうかどうしようか迷っているのだね。
「カルネのママじゃありません?」曜子さんがにっこり近づいてくる。空を見上げて「お月見?」笑いかける。すてき……(うっとり)
元子さん
「ああ〜、そうなの。」
曜子さん
「お邪魔してごめんなさい。」立ち去ろうとする。即座になにか気付いた感じですね。ベージュのトレンチコート(ハァト)に白(薄いブルーグレー?)のパンツ、黒のショルダーバッグ。インはエンジのタートル。襟元に例の水晶のチェーンが光ってます。
「あ先生」曜子さんを呼び止める元子さん。「ちょっと教えて頂きたいんだけど…。ロダンの事。売りに出てるって噂があるけど本当?」
曜子さん
「さあ…。(ほんとに知らない感じ)でも大ママが引退するって話は聞いたことがあるわ。」目がキラリーン。
元子さん
「あんなに大きなお店ですもの…きっとお高いんでしょうねぇ」
曜子さん
「格もあるし名前もあるし…2・3億はすると思いますよ。(ふたたび目がキラリーン。ちょっと愉快そう)じゃ。」

以上っ!


NELの勝手感想文

秋も深まり、黒革ドロドロ度も深まってまいりました。
お金…恨み…お金…恨み…(ぐるぐる)はぁ〜(胃痛)。

でもなんか、ツっこみどころもわかってきて、自分なりにドラマを楽しめるようになってきた気がいたします。ほほほ。
女性たちの心理を読むのもおもしろいですし、イケメンな男性をチェックするのも新鮮(<ふだん見てないから…)そしてやはり銀座の風景が映るとなんだか華やかな気持ちになりますしね。(でも、アングルがワンパターンなんだよなぁ…)(<エラソーな事を言いはじめたな自分)(りかさんを下からアオリで撮るのはやめてくれんかな……)(<うるさいって!)

曜子さんが、サロン以外の場面にも登場されたのは大変うれしゅうございました。単に場面が増えたってだけでなく、この世界における櫻井曜子さんの存在っていうのが漸くぼんやりと(私の中では、鮮やかに)浮き上がってきたなと…。
あの人には、普通の人に見えないものが見えているのだろうなと思う。
誰もが表と裏の顔、建て前と本音、そして「意識」と「無意識」を持ってる事。(たとえば元子さんは、伸し上がる事ばかり意識しているけれどその奥底には「愛されたい=愛されなかった自分を消し去って別人になりたい」みたいな寂しさがあると思う)。
そんな人たちの思い(力)が渦巻いて街をつくってる事、人ではないものの力も街には存在すること、いろいろ、いろいろな事があの人には視えているのだろう。
元子さんが野心を抱えてホテルを見上げてるときに、曜子さんは月を観てるってのは象徴的だと思います(深読み好き)。

元子さんの悲劇は、市子さんが言ったように「人の心ってものをわかってない」処に起因すると私は思うんですよね。自分の上司、自分の後輩、自分のお客だった男…それらをみんな傷つけて、わかってない。お金の問題だけでなくその心的負債が後々彼女を追い詰めていくのに、わかってない自分に気付いてない。

それと正反対に、自分と直接関係ない人のことでもわかってしまうのが曜子さんなんでしょう。いまが全部視えているから、未来の事も自ずと判る。でも(相手が望まない限り)ベラベラ喋ったりはしないで、黙って『流れ』をみつめている。
といっても突き放すのではなく、曜子さんはとても優しい目で人々を見ているような気がします。
ただの占師なら優しくなくてもいいんだろうけど。そこが「りかさんらしい感じ」だと思います。

居なければ居なくてもいい役、だとは思うんですが…曜子さんがいるからこそ、このドラマが面白く感じられます。わたしには(紫吹ファンだから、というだけでなく)。
さてこれから後の展開で、どんなシーンに登場してくださるか…うーむ、まああまり期待しすぎないように(脚本の都合しだいだもんね)、でも楽しみにしています。

2004/11/07 up